色彩の技法、セパレーション
「そういえば、これはセパレーション技法 だったな」
先日、アトリエでポートレートの絵を描いている時に、ふと思うことがありました。
普段、絵を描く時に、常に技法を意識しながら描くことはあまりありません。
面や色彩を感じながら感覚で混色をして、感覚で色を置いていく。
そうやってしばらく絵を描き進めていると、いつかこの時間はやってきます。
「この絵うまくいってる?」
自分の絵を客観視するのはとても難しいことです。
しかし、そんな時に技法を知っていると自分の絵を客観視するのに役立つ事に気が付きました。
セパレーション とは
「セパレーション」 は色彩における技法の一つです。
簡単にいうと、セパレーション は色と色の中を取り持ち、色の調和をとる役割があります。セパレーション には無彩色が使われることが多いです。
無彩色とは
白、黒、グレーなど
大学などで絵を教えている時に、色がうまくいっていない、もしくは悩んでいる生徒を見かけることが多々あります。
色がうまくいっていない時
- 使っている色が強烈すぎて見辛い
- 淡い色ばかりで絵がぼやぼやしている
このような時は「セパレーション 」を意識してみてはいかがでしょうか。
セパレーション を使う時は
色彩に調和をとりたい時に使います。
セパレーション の例
【強い色彩の場合】
図1よりも図2 の方が青とオレンジの色の間に無彩色の白が挟まる事で、
調和がとれているのが分かります。
【淡い色彩の場合】
こちらも図3より図4の方が
真ん中に無彩色の白が入ってくることで他の2色を引き立てているのが分かります。
【白で囲むセパレーションの例 】
こちらの図も、白で囲む事で、ぼやけていた星の形が見やすくなりました。
白が星と背景の2色の中を取り持ってくれる役割を果たしています。
参考・参照文献
文部科学省認可 社団法人 全国服飾教育者連合会『色彩検定 公式テキスト3級編』株式会社A・F・T企画 2010年 ,p.83
技法は知っておいた方が良い
私自身もそうなのですが、技法は気付かないうちに使っていることはよくあります。
私も改めて「あっこれはセパレーション だ」と思ったのですが、技法を知っているのと知らないのとでは大きく違いがあります。
私の場合、セパレーション という技法を知っていることで、知らなかった時よりも明確に絵の中の主役の色と脇役の色が意識できるようになりました。
絵を描く時は、自分の感覚と客観的な視点を行ったり来たりしなければなりません。
客観視するのはとても難しいことなのですが、そんな時に技法は役立ちます。
また、これは私の感じたことなのですが、色というのはとても感覚的なものです。
色を使うのが上手い人、苦手な人はいます。
色に関してセンスがあって、なんとなくできちゃう人というのは存在して、絵や美術を仕事にしたいと考えている人は、そのような人と戦っていかなければなりません。
美術や絵を仕事にする上で、技法は知らないといけないと思うのです。
絵を描く技術を、感覚と知識と両方の側面から学べるのが理想的だと思います。
色彩について学べる本は何種類か出ているので、一度読んでみてはいかがでしょうか?
まとめ
セパレーション は、画面の色が強い時、または淡くてぼやけて見にくい時に試して欲しい技法です。技法の勉強はつまらないと思われがちだけど、知っていると結構役に立ちます。1冊くらいは色彩の本を持っておくと便利ですよ。
参考文献
文部科学省認可 社団法人 全国服飾教育者連合会(2010)『色彩検定 公式テキスト3級編』
株式会社A・F・T企画.