オオカミの眼は何色?
1日に流れるCMの放送回数は約4300回を超えるというデータがあります。
そのCMを通し、私たちはその都度あらゆるイメージを受け取っているのです。
さて、「オオカミの眼の色は何色?」
と聞かれた 時、あなたは何色と答えるでしょうか。
イラストやゲームのなかで、オオカミの眼は青色で描かれることがあります。
しかし、生物学的には青い眼のオオカミは存在しません。
元々、私は大の狼好きなのですが、
改めて狼について、その背景や歴史も含めて考えるキッカケになったのは、
昨年東京・原宿のBLOCK HOUSEにて開催された「オオカミの眼」 展に参加させていただいたことです。
本展は、実在しない「青い眼のオオカミ」を出発点に
「いないはずのものから得る実感」
について、作品を通してふれることを目的として企画されたものでした。
日本では絶滅してしまった狼...
私たちが一般的にイメージする狼と実物の狼にはかなりのズレがあります。
今回の記事では、その容姿を含め、狼について少しまとめてみたいと思います。
まずは狼の本当の眼の色についてからです。
狼は金眼という眼を持つ
狼の眼は金眼と呼ばれています。
金眼とは金色の眼球の目のことです。
金眼は、アンバー(琥珀色)であると言われており、
アンバーの目を持つ人は、
通称「Wolf eyes(狼の目)」と呼ばれています。
アンバー(琥珀色)の狼の眼は、光に当たると角度により
金色に輝いて見えます。
また、夜の暗闇でも物が見やすくなっています。
アニメなどで夜の暗闇の中に狼の目だけが光っているシーンを思い出す方も多いのではないでしょうか。
この金眼は狼の他に、猫や猛禽類などにも見られます。
フクロウなんかも夜に眼を光らせているイメージですね。夜行性の動物には欠かせない目のようです。
一般的な狼のイメージ
私たちがイメージする狼といえば
絵本の中の狼。
絵本に登場する狼といえば、悪者です。
毛はボサボサ、黒くて汚れていて声はガラガラ…。
その昔、日本では狼は生態系のトップに君臨しており、山の神の使いとして崇拝されていました。
獣偏に良いと書いて「狼」
まさに「良い動物」の象徴だったようです。
その読みも、「大神」から由来するという説もあります。
一方、ヨーロッパでは家畜を襲う「悪い動物」であり、悪魔とさえ呼ばれた記録も残っているそうです。
日本で狼が「悪者」と言われるようになったのは明治維新以降とされています。
その頃、西洋の童話などが日本に伝わっています。
狼が悪者として私たちのイメージに定着してしまった一つの要因として
西洋からもたらされたイメージが強く影響していることも挙げられるかもしれません。
1905年1月23日に、ニホンオオカミは姿を消したとされています。その事で、実際の狼の姿を見る事ができなくなってしまった為に、さらにイメージが先行してしまったのでしょう。
ニホンオオカミの絶滅は、人間が開発を進める事で生息地が減少した事なども原因であるとされています。絶滅させられた上に悪者扱いされているとは、何と不憫な動物なのでしょうか。
実物の狼の姿とは
では実際の狼の姿とはどのようなものなのでしょうか。
実物の狼は絵本などのイメージとは違い、とても美しく凛々しい姿をしています。
まさに「山の神」に相応しい姿です。
犬に似ていると想像する人もいるかとは思いますが、実際は結構違いがあります。
狼の方が、姿勢が前傾に伸びていて、顔つきも前にシュッと長い形をしています。
犬が成熟するのが6~9ヶ月なのに対し、狼は2歳頃に成熟するのだそうです。
性格は感情が豊かで、仲間とのふれあいを大切にします。群で行動するので仲間とのコミュニケーションは絶対に必要です。
また、感情が大きく現れる部分が「目」で、目の瞳孔の動きや見つめ方などでアイコンタクトを取りながら、群の中で生きています。
こうして実際の狼を見てみると、感情が豊かで仲間とのコミュニケーションを大切に生きているところは、どこか人間に似ているような気がします。
人間と重なる部分も他の動物に比べて多いところが、日本において狼が「崇拝」の対象になった一つの要因なのでしょう。
まとめ
私たちが一般的にイメージする狼と実物の狼とはかなりの違いがあります。
かつては神と崇められてきた動物が、悪者へと転換されてしまう…
そんな歴史的背景を持つ狼は、実際には金色の目を持つ美しい姿をしています。
狼を知ると同時に、私たちは、外からもたらされたイメージに影響されて生きているということを感じました。
次回の記事では、現存している狼の生息地についてをまとめてみたいと思います。