誰でもない誰かをつくる
「 誰でもない誰かをつくる」
今、継続して描いているポートレイト作品のコンセプトである。
ポートレイトは本来、その人物の特徴や気配を感じ取れるように描かれてきた。
しかし、私はその対象の特徴を、極力消そうと意識して描いている。
というか、そもそも描かれている人物は存在しない。
実在しない人物のポートレイト
Combine Portrait / コンバイン・ポートレイト
様々な実在する人物のパーツを組み替えることで、新たな人物を作り出す。
Combine Portraitに描かれた人物たちは実在しない。
combine は、「結合する」や「他のものと結びつける」という意味がある。
portrait は、肖像画という意味である。
Combine Portrait は複数の人物の顔の部分(目、鼻、口、髪、など)を組み合わせて、現実には存在しない顔を創り、それをポートレイトとして描いた作品である。
現在このCombine Portraitを12点、台湾、台中市のダリアートセンターにて開催中の「TOKYO ILLUSION」に出展している。(2018年7月28日〜9月30日)
同じ人物の「髪型、耳、顔の輪郭」と複数の異なる人物の「目、鼻、口」を組み合わせた男女をそれぞれ6点ずつのポートレイトで構成した。
髪型と輪郭を2人の男女に固定した事で、それぞれ6点ずつ全てその性別に見えるが、その中で組み合わせている目や鼻の人物はバラバラだ。
そのようにして創り出した顔の立体を、デッサンの「面取り」のように面で捉えて行く。その面を平滑に塗りあげる事で人物の顔が持つ個としての特徴を消していく。